弱者ビジネス。
世間には、弱い立場の人をターゲットにしたビジネスがたくさんある。
私はなにも、弱い立場の人を否定したいわけでも、ビジネス自体が悪いと言っているわけでもありません。
私も弱い立場ですし、いちサラリーマンとしてビジネスに携わっていますし、今の世の中が回っているのは間違いなくビジネスがこの世に存在するからです。
最近はSNS等で弱い立場の声が発信しやすくなったし、届きやすくもなりました。
弱い立場と一言で言っても、貧困層や被差別層などの一般的に想像しやすい立場だけではなく、仕事や家庭でうまくいっていない人、学校でうまくいっていない人、うつ病になっている人、落ち込んで立ち直れない人も含まれると、個人的には考えています。
たとえばXやYouTubeで、死を意識するようなネガティブな言葉で検索をかけると、夥しいほどのツイートや動画が一瞬にして目の前を埋め尽くします。
突然ですが、私はよく本屋さんに行きます。
どれくらい行くかというと、1週間に1回のペースで行っています。
都内に住んでいるため、大きい本屋がメインとなりますが、最近目立つと思うジャンルが、「心理系」です。
「心理学」ではなく「心理系」です。
これらの本は、主に心理カウンセラーや心理士※が書いていて、人生がうまくいかなくて困っている人に向けて書かれた本になっています。
※一口に心理士といっても臨床心理士や認定心理士等いろいろなものがあります。気になった方はぜひ調べてみてください。
これらの本が大量にあるのです。
それだけ、「弱い立場」にいる人が現代では増えている、あるいは可視化されてきているということだと私は思うのです。
これらの本は、心理系といいつつも、自己啓発との境が曖昧で、共感・励ましの立場から書かれたものが多い印象です。
私は、これらの本を読んで救われる人々がどれだけいるのかなあ、と懐疑的に思っています。
結局、本当の辛さは本人にしかわからないのです。
いくら臨床やカウンセリングの場を経験していても、本人にしかわからないことがたくさんあるのです。
似通ったケースが存在しても、一人一人オリジナルの背景を持った上で悩んでいるわけで、当然、本を書く人たちの想像は遠く及ばないのが現実だと思います。
また、本によっては、なにせ弱い立場を助けるものなので、売れ行きがよいものも当然あります。
これは立派な、弱い立場の人々をターゲットしたビジネスです。
でも、再度申し上げますが、私はこれらが本当に困っている人を助けるとは思いません。
本当に助けを欲しているときは、SNSや本ではなく、しかるべき医療機関や政府の機関の援助を求めることが大切だと考えています。
そこまで深刻でない場合は、家族や保険適応外にはなりますが臨床心理士(カウンセラー)などに相談してみるのも手です。
もちろんこれらの機関が絶対的に良い、助けになるに違いない、申し上げる気はさらさらありませんが、本を読んで「弱い立場に寄り添うそぶりを見せたビジネス」に飲まれるよりは、幾分よいのではないか、と私は考えるのです。