イーロン・マスク氏のツイートが話題に(引用あり)
最近Twitter社の買収で話題になっていたイーロン・マスクさんですが、彼のツイッター上の発言で日本に関する内容があり、同じく話題になっています。引用します。
At risk of stating the obvious, unless something changes to cause the birth rate to exceed the death rate, Japan will eventually cease to exist. This would be a great loss for the world. (@elonmusk – Twitterより)
「当たり前のことをあえて言おう。出生率が死亡率を上回るように何らかの手を打たない限り、日本はいずれ滅亡する。これは世界にとって多大な損失だ。」
登場した語彙
まずは、このツイートに登場する語彙を以下に示します。
・at the risk of A 「Aの覚悟をして」
※引用元のツイートではtheがついていませんが、theをつけるのが定型的な表現です。of以下で具体的な危惧を示しているので、そのリスクには定冠詞theがつくという考え方ができます。
・state the obvious 「誰もが既に知っていること、理解していることを述べること」
・unless… 「…しない限り」
・cause A to B 「AにBさせる」
・the birth rate 「出生率」
・exceed 「〜を超える」
・the death rate 「死亡率」
・eventually 「最後には、ゆくゆくは、ついには」
・cease to do 「をやめる、終える」
・exist 「存在する、生存する」
・loss 「損失」
直訳と意訳
直訳
一旦、直訳気味で訳してみます。
「誰もがご承知のことを覚悟のうえあえて述べると、出生率が死亡率を上回るために何かが変わらないかぎり、日本はゆくゆく存在をやめるであろう。こうなってしまうと、世界にとっては多大な損失となる。」
意訳
直訳すぎるので少々意訳してみます。(前掲)
「当たり前のことをあえて言おう。出生率が死亡率を上回るように何らかの手を打たない限り、日本はいずれ滅亡する。これは世界にとって多大な損失だ。」
something changesの部分は、何かが勝手に起きて事態が好転することはないので、主語we(我々人類)またはJapan(日本国家もしくは日本国民)を想定した形に意訳しています。
メモ①:私の(勝手な)深読み
イーロン・マスク氏の思いとして「出生率が死亡率を上回るなんて奇跡は、実際は起こらないであろう」というものがあり、我々の支配が及ばぬ無生物主語の”something”を使うことで無力感を示す狙いがあるかもしれません。
somethingを肯定文で使う場合、不定・未知のものを指して「何か」「ある事」という意味になります。[ウィズダム英和辞典より]
メモ②:助動詞willとwouldについて
willは個人の強い推量です。結構な自信がない限りはwillを使わないので、意訳では言い切る形にしました。
wouldは「日本が滅亡した場合には」という前部分の仮定の意味を含んでいます。
※もちろんwillとwouldにはこれら以外の用法もあり、文脈により判断は変わります。
文構造
文構造も一応記しておきます。
再度引用し、①〜⑤に分けて説明します。
①At risk of stating the obvious, ②unless something changes ③to cause the birth rate to exceed the death rate, ④Japan will eventually cease to exist. ⑤This would be a great loss for the world. (@elonmusk – Twitterより)
①副詞句からスタート
At (the) risk of stating the obvious,
- 副詞句です。後に出てくる主節(Japan will…)の全体を修飾しています。
②従属接続詞unlessで文と文をつなぐ
unless something(S) changes(V)
- 単純な構造ですね。従属節(副詞節)の核となる箇所です。
- 従属接続詞なので、「unless S+V(従属節←イマココ), S+V(主節).」の形となることが予想できます。
③to不定詞連発
to cause(to不定詞=V’) the birth rate(V’の目的語) to exceed(V’の補語,to不定詞=V”) the death rate(V”の目的語),
- to causeがto不定詞副詞用法でchangesにかかります。
- cause(V’) the birth rate(O) to exceed(C)の第5文型になっています。
- to exceedはto不定詞名詞用法で「cause O C(toV)」の形のCになっており、the death rateを目的語にとっています。
- ここまでがalthoughから始まる従属節でした。
④主節はシンプル
Japan(S) will(aux) eventually cease(V) to exist(O).
- 主節です。
- ceaseは他動詞※です。
- to existはto不定詞名詞用法でceaseの目的語です。
※ceaseを自動詞として、その後にto不定詞を取る用法はありません。無理やりそのように解釈しても、to不定詞副詞用法で「存在するために止まる(目的)」「止まって、存在する(結果)」のように変な意味になってしまいます。
⑤最後はSVC
This(S)would(aux) be(V) a great loss(C) for the world.
- 単純なSVCの形です。
以上、今回はイーロン・マスク氏のツイートを元に学習してみました。(備忘録)
さて未来はどうなるかな。